ネオニコチノイド農薬の影響
以前のコラムで「ネオニコチノイド農薬」問題を取り上げた(第97回 子供たちの異変)。子どもたちに被害が出ているとの危機感からだ。多くの人に知られるに従い、農水省もマイルドな対策を出さざるを得なくなったようだ。
ホームページに「平成30年度 農薬危害防止運動の実施について」という記事が掲載された。あたかも「用量に従わないせいだ」とばかりに、きちんとその危険性について調査しなかった自らの責任を、使う人のせいのように責任回避しているように見える。
しかし必要な対策は「使用禁止」「生産禁止」でなければ効果は期待できない。というのはネオニコチノイド農薬の影響は、ほとんど「環境ホルモン(内分泌ホルモンかく乱物質)」並みで、ないに等しいほどの低濃度で影響を及ぼすからだ。それが持続性農薬で、ものによっては3年程持続することを考えるとやめる以外の対策はないのだ。
農家の負担増?
しかしこの話をすると必ず出される反論が、農家の負担を考えると別な対策が必要だというものだ。要はもっと毒性が低くて安くて使いやすい農薬に変えられないのかというものだ。それが難しいというと、ならばやめられないという話になる。
ばかばかしい論議だ。子どもたちが生まれなくなり、子どもの8人に1人が学習障害になってしまうほどの事態が、「やめられない」のか。そんなセンスの人は自分が被害者になればいいと思う。
逆説的な解決策
実は解決策は全く逆方向にあるのだ。殺虫剤で虫を殺すために使われているのだが、もともと元気な野菜の栽培に成功すれば、虫が来なくなるからだ。虫の役割は弱った個体を攻撃して再びやり直させることで、虫は全体計画に組み込まれているのと同然の存在なのだ。だから強い個体を作ることで、殺虫剤不要な農地を作ることにある。
特に土作りが最重要なのに、虫を殺すことしか考えない。こんな人たちの社会は、ナウシカの物語と同様に、滅びるしかないのかとも思う。
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2018年3月発行の天然住宅田中優コラム「持続可能な社会を目指して」より転載しました。
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