お金で社会を変える・・「未来バンク」

未来バンクとは

未来バンクとは、市民による市民のための非営利バンク(NPOバンク)です。
組合員である市民からの出資金をもとに、環境保全や福祉の向上、地域課題の解決など、市民やNPO団体・法人による社会的有用性の高い事業や取り組みに融資を行なっています。

1994年4月に日本で初めて設立されたNPOバンクである未来バンク事業組合と、その融資部門をもつ未来舎、そして天然住宅バンクが合併し、2019年2月1日に「未来バンク」となりました。

未来バンクは、市民の志あるお金を、地域社会のためになる活動にまわすことで、一人ひとりがよりよい未来の作り手となる社会の実現を目指します。

未来バンクの歩み

始まりは「環境と金融研究会」

東京都江戸川区の地域グループである、グループKIKIが勉強会での成果をまとめた「どうして郵貯がいけないの-金融と地球環境-」という本が1993年に出版されました。この勉強会の中心人物は、未来バンクの理事長である田中優です。

この「郵貯本」は、私達の貯金が地球環境の破壊とどのように結びついているかを分かりやすく解説したものです。その問題意識を継承し、具体的な対応策を検討しようということで、再び田中優を中心として「環境と金融研究会」が発足しました。

従来の金融機関にお金を預け、その使いみちを白紙委任していては問題は解決しません。そこで自分たちで市民のための「銀行」を作ろうということになりました。いくつかの選択肢が検討されましたが、銀行法に基づく銀行を設立することはハードルが高かったため、組合形式で出資金を募り、貸金業登録をすることで自分たちの「バンク」を作ろうということになったのです。

未来バンク事業組合・未来舎の設立

1994年4月、未来バンク事業組合を設立しました。同年7月には未来バンク事業組合の融資部門として、未来舎を設立しました。未来バンク事業組合が出資金を募り、未来舎が貸金業登録を行った上で融資を始めました。

出資金も順調に伸び、融資も着実に伸びていきます。反戦映画を作りたいという案件を持ち込まれた時には、特別担保提供融資という新たなスキームを開発できました。この融資を支援したいという組合員の方が自分の出資金を担保として提供できる仕組みで、直接融資をする感覚で組合員が参加できるスキームです。

金融商品取引法や貸金業法での規制が厳しくなったのをきっかけに、同じようなスキームで融資を行う団体が集まって行政に働きかけるようになります。「NPOバンク」という言葉ができたのもこの時期です。行政でも理解が得られ、適用除外や規制緩和を獲得するという大きな成果をあげました。また、NPOバンクの集まりである「NPOバンク連絡会」も設立されました。

天然住宅バンクの設立

日本の住宅を変えようということで、田中優が中心となって一般社団法人天然住宅が設立されました。また、その天然住宅の活動を金融面から支援するためのNPOバンクである、天然住宅バンクが2008年7月に設立しました。

天然住宅バンクも順調に活動を進める中で、皮むき間伐ツアー(2010年4月~)、コモンズの森プロジェクト(2010年5月~※)、ペレットハガキ商品券(2011年3月~)、仮設じゃない「復興住宅」プロジェクト(2011年5月~※)など、金融面だけではない活動も展開してきました。
※現在は活動を中止しております。ご支援ありがとうございました。

新生「未来バンク」の誕生

 未来バンク事業組合の設立から25年が経ち、事務局の世代交代と効率化を目的として、未来バンク事業組合、未来舎、天然住宅バンクを合併することになりました。そして2019年2月1日に新生「未来バンク」が誕生したのです。

器が変わっても、当初の志は変わりません。白紙委任するのではなく、お金に意志を持たせ、金融の力で住みよい未来を目指します。引き続き、新生「未来バンク」へのご支援とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

出資金208 百万円
出資者623 名
融資残高62 百万円
融資累計額13億6千万円

※旧未来バンク事業組合、旧未来舎分は2019年1月末時点、天然住宅分は2018年6月末時点を合計して重複分を除いたもの
※融資累計額は、未来舎:12億2千万円、天然住宅バンク:1億4千万円

 

理事長 田中優メッセージ

おカネからの社会変革

 おカネにはネガティブな問題が多いが、今回は逆の事例を紹介してみよう。オーストリア「ヴェルグル」の地域通貨の話だ。

 ヴェルグルはアルプス山脈のふもとの村で、交通の要衝だったことから栄え始め、1900年頃には人口650人程度しかいなかったのだが、1910年時点では4000人以上に増加していた。しかし、世界を襲っていた大恐慌はこの町にも暗い影を投げかけ、鉄道は従業員を100人以上減らし、産業の中心だった繊維工場もまた閉鎖に追い込まれ、町は麻痺状態に陥った。町役場は破産状態、何より税収の未納分だけで11万8000シリングになり、誰も支払えない状況になった。

 そんなときウンターグッゲンベルガー氏が町長に就任し、彼は就任翌年の1932年に「労働証明書」という地域通貨を発行した。滞っていた町役場の職員給与のうち1000シリングを地域通貨で支払った。この地域通貨は、表面にスタンプを貼るスペースがあって、翌月になるたびに額面の!%のスタンプを貼る必要があった。つまり年間ではマイナス12%の金利が課されていた。だから受け取った職員はすぐさまこれを使おうとした。しかしこの地域通貨で「未払いの税金」も支払うことができた、この労働証明書の導入からわずか三日、町役場の職員が「1000シリングしか発行していないのに5100シリングも労働証明書で税金が入ってきたのは、偽造に違いない」と町長に報告したという。しかし実際は偽造ではな く、その紙幣が町役場と町内の事業所を何往復もしていたらしい。偽造するのに三日では作れなかったのだろう。

 その後国の政府によって禁止されるまでの13か月の間に、平均5400シリングほど流通していただけだが、その経済効果は250万シリングに上ったと言われる。失業は解消し、人々は長期的な投資に精を出したようだ。

 このような効果はまさにシルビオ・ゲゼルの理論の通りだった。すべてのモノが価値が減っていく方向に進むのに、おカネだけが価値を増やしていく。その結果、人々はおカネを不動のものとして集めていく。おカネも他のモノと同様に価値を減ずるモノであるべきだと考えて実行したのだ。その結果、おカネを集めるのではなく、長期的に価値が得られるものへと人々は投資をシフトさせた。

 カネは使い方によって社会を変えられるツールになる。ゲゼルのようにカネを変えるなら、社会を持続可能な方向に向けることもできる。ところが人々は思い切りカネに依存しながらカネを考えようとしていない。

 都会が輝いて見えるのは幻想だろう。都会が輝くのは地方の生み出した産物を高く売ることで都会に利益を集めているせいではないか。全世界的に見ると、わずか8人の大富豪が地球上の富の半分を得ていて、残りの半分を8人以外の地球上の全人類が分け合っている。それすら平等に得ているわけではなく、零細富豪の上に中小富豪が乗っている。「地域活性化」はどこでも言われることだが、その「活性化」の方法がわからない。

 ここで簡単に「地域活性化」を考えてみよう。地域の経済は循環しているおカネの量で示される。おカネの循環の反対側には商品の循環がある。商品が売れないから地域経済が回転せず、経済が停滞しているのだ。そのおカネは私たち自身が使っているものだ。地域に回転するカネが少ないのなら、回転数を上げればいい。さらに簡単にすると、地域経済の経済活性の程度は、「地域の資金量×回転数」になる。地域が都会でなければ資金量は地域の人のものにしか頼めない。とはいえ集中生産させる大企業の商品ではその利益も都会に戻されてしまう。地域内の生産物を地域が買い支えることが必要だ。

 未来バンクの方向は、このカネの持つ力を自分たちのものにしようとするものだ。今から考えれば、未来バンクを設立して方向性を示すのが早すぎたのかもしれない。大きな変革にはつながらなかったからだ。

 しかし私たちはあきらめたわけではない。いつかそのタイミングが来たときに大きく打ち出してみたいと思うのだ。人々は今は考えてもくれないが、そのカネの持つ革命的な力を活かせるときが来るのではないか。そう妄想するのだ。

 おカネに意志を持たせることがまず第一だ。カネは匿名でずるいことをするのに便利な手段だという現在を越えて、何かを実現するための市民の持つ強大なツールとなるとき、社会は変わり始めると思う。カネは一部の人の利益のものでなくなり、多くの人の希望を実現できるものになる。そのときには必ずおカネの変革が必要になる。未来バンクはその準備をしているのだと思う。

未来バンク
理事長 田中優

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