田中優「壊れていない自然 そのまま届けてあげたい」(東京新聞 22世紀に残すもの)

2018年1月30日の東京新聞にて、田中優インタビューが掲載されました。

<シリーズ 22世紀に残すもの>

壊れていない自然 そのまま届けてあげたい

岡山の自宅で2013年5月から、電力会社との電線をカットし、電力会社に頼らない太陽光パネルと独立電源システムの生活オフグリッド生活」を始めた。グリッドというのは送電線のことで、電線も電話線も一切つながっていない。最近省エネがものすごく進んでいるから、八畳は二キロワットでまかなえる。

 この家は、化学物質も接着剤も一切を使わず、国産の無垢材で建てた天然住宅」でもある。普通の杉って百二十度で乾燥させて最初に防腐剤につけちゃっているけど、うちの杉は低温乾燥させているので中の樹液分か残ったままだから自然な木の香りやぬくもりが感じられる。まるで森林浴に来たようなリラックス効果が得られる。睡眠を深くする効果もある。年に二十軒ちょっと建てている。天然住宅に住んでいるお子さんの化学物質過敏症やアトピーが治ったし、僕自身はいびきが治った。

 僕がとにかく二十二世紀に残したいのは、「今の壊れていない自然をそのまま届けてあげたい」ということ。それがどうもかなわない状況になってきている。だから、環境問題に頑張って取り組むし、ダムや原発はとにかく食い止めたい。きれいな場所を残してあげたい。子どもたちに話す時に、「こんなきれいな場所があったんだよ、でも今はないけどね」って言わなくちゃいけないのは嫌だ。

 「現実にこんな素晴らしい自然があるよ。どうだ」。そういう自慢にできる場所を残したい。

 ダムに反対している現場などに自分の子どもたちを連れていっていた。ダムが中止になった場所があって、毎年、地元の人たちと沢登りに行っている。子どもと孫も一緒に行ったとき、子どもが孫に「俺、どうしてもこの子たちにここを残してやりたいんだ」と言ってくれた。それだけどんどん自然が壊されていっているってことだと思う。

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(南海放送が放送した、社会起業家・渡邊智恵子さんとの対談を基に構成。
対談は渡邊さんのオフィシャルサイトと財団法人22世紀に残すもの」ホームページで公開中)