前回のつづき
そんな視点で見ているから、できるだけ顔の見えるところから買いたい。若くてカネのない暮らしをしていた頃は考えることもなかったが、今ではいろいろ吟味してから購入している。
できれば、なるべくノックダウン家具を買いたい。
ノックダウン家具とは、部品の状態で出荷され、購入者が自分で組み立てる家具のこと
送料を考えると自分で組み立てたほうが合理的だからだ。組み立てたものを送るとすれば、当然送料が高くなる。できれば送料には多くの費用を払いたくない。
それより木材の由来が気にかかる。もちろん我が家では殺虫剤や防腐剤だらけの木材は買わないし、家も天然住宅仕様の国産木材だ。それが「輸入木材」だったとしたら、日本の植物検疫を受けるときに防虫剤で燻蒸されてしまう。
それだけでなく、国産の木材だったとしても大手商社を経由して購入すると防腐剤、殺虫剤を浴びせてしまう。カビや虫のためにクレームを受けると困るからだ。
だからぼくらの家の木材を届けてくれている「KURIMOKU」の家具なら安心なのだ。
その「KURIMOKU」もかなり前には他と同じようにして木材を売っていた時代があった。しかしシックハウス問題が取り上げられ、自分たちの木材を使うことで住まう人が病気になることを考えたら使えなくなってしまった。
だから山にも殺虫剤も撒かないし、アスファルト舗装すらしない。木材の価格にそんな毒物に払うコストが含まれていると知ったら、当然選ぶ気にならないだろう。
家具のコストには実はそれらのコストが含まれている。安物の食品と同じだ。「安かろう悪かろう」の食品にはその分だけヤバイものが含まれている。その事情は家具も同じで、食べ物ではない分だけ「より悪い物」が使われていると考えたほうがいいだろう。
ただ家具の木材量は全体から考えたら一部だろう。しかしもともと木材には虫に食べられにくいリグニンなどの成分があるのだ。ところが木材の乾燥時、早く乾かすために120℃もの高温で乾燥させるため、虫の嫌う大切な精油分が蒸発させられてしまう。
高温で乾燥させない木材は珍しいほどで、もちろんぼくが関わっている木材供給者は高温乾燥しない。この点で天然住宅関係の事業者では使っていないのだ。
その発想は「愛工房」という木材乾燥をする工場で初めて目にした。そこでは60℃以下の温度で木材を乾燥させていて、とても気持ちのいい木材の質感を知った。しかしその後木材の乾燥方法を学んでいくうち、他の方法で乾燥させることを知ったのだ。
つづく
天然住宅田中優コラム「持続可能な社会を目指して」より転載しました。
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