風化する911テロにメスを

※2012年10月に発行した田中優メルマガより転載します


▼ Remember 911  

「911事件」と言っても伝わらない時代になってしまった。すでにあれから11年、当時理解できなかった幼少の子どもが大学生になる時代だ。  

まずは何が起きたのかから説明しなければならない。
2001年9月11日、ニューヨークの貿易センタービル(WTC)のツインタワーの一つに一機の飛行機が激突した。それに少し遅れてもう一方のタワーにも飛行機が突っ込み、アメリカ国防総省にも一機、そしてもう一機は大統領官邸を狙っていたとされる飛行機が落ちた。

その後WTCの二つのビルは崩れ落ち、すぐに「ビンラディン率いるアルカイダグループ」のテロの犯行だと報道された。そこからアメリカは復讐のための戦争に乗り出していった。  

これが劇的だったのは、ほとんどの人が二機目以降のテロが同時進行でテレビに放映され、世界中の人が目撃者となっていったことだ。人々はテレビに釘付けになり、降りられないビル上階で必死に布を振る人たちを目撃したのだ。 

やがてWTCの二つのビルは崩れ、生存者はその時点で絶望的になった。アメリカではまるでパニックのようになって人々は復讐することを誓った。すぐにビンラディンらはアフガニスタンにいるとされ、アメリカはアフガンの攻撃を始め、続いてイラク戦争へと向かっていった。

一方で世界中の人々は、アメリカに「戦争するな」と抗議行動し、世界中の街角には抗議の人々が溢れた。 しかしブッシュジュニア大統領は「テロリストにつくのか、それとも正義につくのか」と言い、イラクへの戦争に入っていった。

公共事業としての戦争  

そのときのイラク攻撃はいくつかの理由があった。

「大量破壊兵器を持っている、911テロにイラクのフセイン大統領は関わった、アフリカからウランの密輸をした、民主化されておらず人々を苦しめている」というものだった。  

しかしその後になってブッシュと閣僚たちは「大量破壊兵器は発見されなかった」と認め、「フセインがアルカイダと関係なかった」ことも認めた。アフリカ・ニジェールからウランの密輸は、文書そのものがでっち上げだった。  

その後、誰もが認めるようにイラクは民主化どころか国家そのものが崩壊させられて危険な国に変えられてしまった。イラクの油田は先進国に奪われ、反アメリカ的な政権は崩壊させられ、アフガンは天然ガスを運ぶ通過点として活用されるようになった。ビンラディンはその後にアメリカによって暗殺されたとされ、終結したかのように思われている。  

しかしこれらの戦争はいったい何のためだったのか。他のイラク戦争に関わった先進国では、たとえばイギリスが当時のブレア首相を喚問したように、戦争に関わること自体が検証された。検証したほとんどの国で、戦争は不必要だったと結論づけられている。  

しかし日本では検証そのものがされていない。おそらく本当の理由は、ついに世界の石油の生産量が消費量を下回り、石油が巨大な利益を生み出す権益になったことにあるだろう。イラクは巨大な油田を擁しながら開発されておらず、しかもフセインは石油のドル建てをユーロ建てに変更しようとしていた。ドル建てならドル札を印刷するだけでアメリカはタダ取りできる。  

その利益を失わせる変更をアメリカは認めなかったのだ。 しかもアメリカの軍事費は世界の半分以上を占め、同国の最大の公共事業こそが 「戦争」なのだ。

▼ 不自然な911事件  

それにしても不自然なのが911事件だ。一連のテロ事件である以上、一点でもおかしければ全体を疑わなければならない。しかし不自然なことだらけだ。  

たとえばこのとき、攻撃も受けておらず、建物の影になってほとんど損傷されていないはずのWTC第七ビルが崩壊している。BBC放送の実況アナウンサーが「今入った情報です、第七ビルが崩壊しました」と言っている最中、その後ろに第七ビルがまだ建っていたのだ。  

しかもツインタワーは崩壊したが、その建物は飛行機の突入を想定していた頑丈な造りで、崩壊するはずがなかった。飛行機の突入に伴って起きた火災で鉄筋が弱くなったせいだとされたが、これまでのビル火災で崩落した例はない。  

しかも飛行機の燃料であるケロシンは灯油に似たもので、到底鉄を溶かす1500℃に達する熱量には至らない。しかし映像には鉄が溶けて流れ落ちる状態が映っており、米軍が持つ「テルミット」という特殊な高温を発する爆弾を使用したものとしか思えないものだった。事実、テルミットの成分が発見・分析されているし、たくさんの現場にいた消防士が爆弾の爆発音を聞いている。  

一点でも疑問があればテロ事件全体が納得できないものになるのにおかしなことだらけだ。このテロは自作自演のものではないかとの懸念は、今なお消えていないままだ。  

ぼく自身も納得できない一人だ。ところが同質性依存症の日本では、納得できないと表明するだけで「仲間はずれ」にあう。表面的には学術を装いながら、疑問を持つ人々を排斥する動きがある。そのことに懸念を覚える。  

もう一度同じような事件が起こるとしたらどうなるだろう。 また再びうやむやにされることで、もっと深刻な事態を招くだろう。福島第一原発事故以前までの原発神話を見るように。

しかも経済的に行き詰ったアメリカは、いつ再度戦争に走らないとは限らない。壊れるはずのないビルを壊し、溶けるはずのない鉄筋を溶かして2000人近い同じ国民を殺してまで復讐の動機を作る。

しかしそのときにもまた、再び「同質性依存症」の人々による、「多数派以外は排除」が行われるだろう。

周囲に流されず、納得しない人が存在することが大事なのだと思う。それが勝手なシナリオを作らせない抑制につながるからだ。その芽を摘みたくない。  

ぼくはここに隠された謎を、分析・追及し続ける人たちを応援したい。

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※ 川崎市職員労働組合へ寄稿したものを好意を得て転載したものです。

参考動画