新たな時代の戦争と反戦生活

前回「ウクライナ紛争のもう一つの視点」の続き


 
 これからも一部のファンドの企みによって人々は被害者とされていくだろう。世界の資産額の半分は、たって八人の大金持ちによって所有されているのだ。

 
ではその被害者たちが戦争を避けるためにすべきことは何だろうか。アメリカが予定通り経済制裁を課したならば、ドイツ・フランスはこれからロシアからのガスの禁輸により寒さの被害を受け、ファンドは高値になるエネルギー価格で儲けるだろう。それを戦争回避の手段だとして平和を唱え、指をくわえて成り行きに任せるのが良いだろうか。

 

 人々の自衛策とは、何よりも必要欠くべからざるものを自給することだと思う。地球温暖化問題もあり、遅かれ早かれ化石燃料は使えなくなる。ならばガスの消費を最低限にして、太陽光発電の電気でヒートポンプを動かして給湯できる「エコワンソーラー」のような装置を利用してはどうか。 

エコワンソーラーの仕組み

 

 我が家は太陽光発電だけで電気を自給できている。水も井戸を用いて自給している。このことが我が家の有事対策であり、防災対策だったのだ。電気が届かなくてもガスに不自由しても、生活できる基盤はある。だから未来バンクはこれに対する融資を始めたいのだ。

 

 これこそが一番の「有事対策」であり「防災対策」ではないか。各国で困っている人々が映し出されれば同情し、反戦平和を叫ぶのもいい。しかしそれが敵を間違えた行動だったらどうするのか。

 

 大切なのは調べること、よく学ぶことだ。そして生活の中で自給できる余地を少しでも広げていくことだろう。学ばないと騙されてしまう。もしくは利益に引きずられて判断を誘導されてしまう。それは流れの早い現代の宿命だ。ここまで学ばなければ現実は見えてこないし行動も捻じ曲げられる。

 

 今起きているウクライナの問題は、新たな社会の現実を見せつけているようだ。従来の正義感や認識では捉えきれない。おそらくこれからも、もっと大きな金持ちたちの暴虐が社会を捻じ曲げていくだろう。それをくい止めるには、それに加担しないことや批判することだけでは足りない。自分たちでそれに代わる仕組みを作って実現していかなければならない。

 

 そのとき役立つのが「エッセンシャルワーク(必要不可欠な仕事)」を支えられる仕組みだ。「労協法」が成立し、それを人々が創り、支えていくことが可能になった。そのエッセンシャルワークとして自給の仕組みを発展させたい。

 

 

  水を自給していると、上流の汚染が自分事として心配になる。同じように自分事として環境を気にするようになる時、環境問題は改善されていくだろう。エッセンシャルワークは、人任せにしていてはできない。必要不可欠なものを自分の責任の下に取り戻すことでしか実現できない。戦争を他人事として考えるのをやめよう。

  

2022年3月発行の天然住宅田中優コラム「持続可能な社会を目指して」より転載しました。

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