子どもが壊されていく 

「非遺伝子組換(Non-GMO)食品」の表示

前回、日本全体で人口が激減してしまうというシナリオ↓を、政府の調査から紹介した。

こうしたデータをどう見つけるかというと、毎月二回発行している「活動支援版(有料)メルマガ」のために常に気にかかった情報をデータまで調べているからだ。
 今回もまた調べていく中から驚くデータを見つけたので紹介しよう。

 

 まず一つはアメリカ、ワシントンポスト紙に紹介された記事だ。アメリカで統計上初めて、平均余命が減り始めたという記事だ。2014年から2015年にかけて、平均寿命が78.9歳だったのが78.8歳へと減り、特に男性の方が大きく減った。しかし0.1だけだから、史上初の事態とはいえそれほど大きな数字ではない。

 でも日本の今後の人口予想数に習うならば、「西暦3000年には人々の平均寿命は98.3歳減ることになり、子どもは生まれたと同時に死ぬことになる」とするところだろうか。ただ直線的に考えるのは全く愚かしい。もっと多くの条件を見ながらどうなるのか推定しなければ、精度以前に予測にはならない。

 ところがアメリカの他の疾病データなどを見ていくと、恐ろしい事実がある。
慢性疾患である「腎臓、腸の病気」、「肝臓、胆管、甲状腺、膀胱、胆嚢ガン」、そして自閉症もまた急増しているのだ。

その急増のカーブと一番一致するカーブを探すと、

遺伝子組み換え作物の出荷量、遺伝子組み換え作物以外の植物を枯らすための除草剤「ラウンドアップ(成分名ではグリホサート)」の出荷量が増えている

のだ。

 これに因果関係があると考える市民たちは、これに猛烈に反発し、今や非遺伝子組換えの作物が4年で7倍以上売れるようになっている。「遺伝子組換え」の表示を求めたが敗北すると同時に、「遺伝子組換えでない表示」を開始した。

日本の学習障害児童の急増

 アメリカはすごいなぁと感心している場合ではない。売れなくなった遺伝子組換食品は、市場を求めて日本に輸出されるようになってきているのだ。日本では表示が甘く、5%以下なら表示せず、醤油などのような加工品は最初から表示しなくて良いことになっているのだ。



 まだ日本はアメリカのような遺伝子組み換えの被害は顕在化していない。ところが調べてみると、もっと怖いことが起きているのだ。学校で特別な教育指導を行わなければならない子どもたちの数が、文科省の調べでも平成10年の24,342人から、平成26年には83,750人へと爆発的に増えている。実に3.44倍の増加だ。


 特にいわゆる注意欠陥多動症障害と呼ばれるADHD、学習障害(LD)、自閉症や情緒障害が増えている。今年(2017年時点)の夏に問題にされた長野県の農薬空中散布なども、因果関係を考える必要があるだろう。

 農薬散布は先に行われるのに、体内影響はその後だ。犯罪の無罪推定原則のように、なぜか農薬は安全なもののように推定される。これを覆すのは大変なのに。しかし世界的に調査が行われて、EUがネオニコチノイド農薬のいくつかを禁止したり、世界中で規制されるようになってきた。


 だが肝心の日本は、今なお野放しに近い状態なのだ。その結果ではないのか。1990年代から使われ始めたネオニコチノイド農薬の出荷量と、子どもたちの学習障害とは並行に進んでいるのだ。統計的には、ネオニコチノイド農薬の使用量が増加すると、児童の学習障害が増えるのだ。そこに因果関係を見つけ出せるまでは野放しでいいのか。

 これは正に現代の公害だ。しかも加害者の特定できる「公害」なのだ。

第三の「化学物質による精神疾患」

 精神疾患には脳自体が傷ついていたりする「器質性疾患」と、特に物理的に問題ない「精神性疾患」がある。そこに新たに加わっているのが「薬物性精神疾患」だ。脳は巨大な「電子・科学・化学」臓器で、その役割の大きさと共に非常にデリケートなものだ。
 そこに薬物を混入すれば、電子信号がオンの状態のままになったりして機能しなくなる。

 以前は「自閉症」は「遺伝的な器質障害」と考えられていたが、そこには何も見つからなかった。今では国際疾病分類では自閉症を器質性障害に分類していない。

 では何なのか。ここに化学物質による「薬物性精神疾患」という分類が必要になったと思う。アメリカでも1995年頃から急増し、日本でも2005年頃から急増している。この頃生産が急増したものを考え見てほしい。しかも器質性ではなく、精神性とも言い難い自閉症なのだ。化学物質が原因であることは容易に考えつく。しかも多くの子どもたちが共通して摂取するものだ。食品由来のものであることも容易に想定されるはずだ。

 今は規制されていないのだから、親が自ら規制するしか方法がない。子どもたちの脳を破壊しないためには、家庭で規制するしかないだろう。もしそれが「化学物質」だとしたら、それは農薬に限られるわけではない。そこまで考えなければ、子どもを健全に育てられない社会にしてしまったことが問題だ。

 そしてアメリカでは、「腎臓、腸の病気、肝臓、胆管、甲状腺、膀胱、胆嚢ガン」へと裾野が広がり、人間の寿命すら左右し始めたのだ。だから子どもたちと未来のことを思うなら、無関心ではいられないのだ。

(2017年川崎市職員労働組合様へ寄稿したものを、好意を得て転載しています)