人々が自由になれる暮らしをサポートしていきたい

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私は、「オール電化」という発想は短絡的でろくでもないものだと思っているが、例外的に「ヒートポンプ」はうまく使えば効率良い仕組みだと思っている。


外気の熱をポンプのように汲み上げる仕組みだから、熱(=エネルギー)を電気で貯める代わりに温水で貯められる。

しかしこれまでは使い方が良くなかった。
温水をヒートポンプで作るには、二つの温度差を考えなければいけない。一つ目は温められる側の「水の温度」と、もう一つはヒートポンプで汲み上げる温度差のある「外気温」だ。

電力会社が広めようと企んだ「オール電化」と、その要である「エコキュート」がつくられた背景には、原子力発電の都合があった。硬直的な電源である原子力発電は、夜間に作り出す電気を抑制することはできない。たとえ誰も電気を使わない時間帯だとしても。

誰も使わないで余ってしまった夜間に作りすぎた電気をなんとか利用しようとして考えたのが前出のエコキュートと深夜電力の割引制度だ。余ってしまう「深夜電力」を使うために「夜間の電気利用」を増やしたのだ。

それも一日の中で最も水温も外気温も低い時間(深夜)に、ヒートポンプを動かす仕組みにした。しかし、一般的に入浴するのは朝ではない。翌日の夕方以降だ。最も効率の悪い時間帯にお湯を沸かして、電気料金を安くしたがその分だけ電気を余計に消費させる仕組みになっていた。

ところが「311以降」、日本中の原発が止まってしまった。すると弱火で発電できる火力発電が中心となり、深夜の電気が余らなくなった。やがて原発が止まると電気の「深夜割引」もなくなってしまった。

電気代の深夜割引がなくなりオール電化の経済的メリットは失われたが、それだけではない。深夜に沸かす仕組みが安くならないばかりか、深夜の冷たくなった水を、冷たくなった深夜の外気温からヒートポンプで熱を集めて沸かすのだから効率が悪い。

しかも北の地域では外気に捨てる空気の温度が氷点下となり、室外機に霜がついてヒートポンプが稼働しなくなってしまう。そのため室外機についた氷をヒーターで溶かすため、効率が悪い(電気を熱源とする)ヒーターが作動し、さらに電気を無駄にする。



エコキュートは「モード設定」によって多少異なるが、「沸き上げモードとお湯の使用量によって約90℃から約65℃まで自動的に変更します」とされている。エコキュートは「深夜電力」に依存する仕組みなので、通常のモードは翌日夜のお風呂に給湯するのだから、それまでに冷めてしまう。「エコキュート」は追い炊きが苦手で、深夜の電気を4時間以上かけて沸かす仕組みになっている。

深夜割引がなくなってしまった地域では、その電力は浪費でしかない。その間「低周波騒音」が漏れるが、低周波であるため普通の騒音計では計れないようにしていた。早く沸かそうとすると低周波騒音が漏れるのだ。こうして「オール電化」のメリットは失われ、デメリットだけが残ってしまった。

そもそも90℃まで上げる形にしていたのは翌日夜までに冷めないために設定した高い温度だった。ならば昼間に沸かして設定温度を下げたほうが省エネだ。

その点、「エコワンソーラー」は、その日に太陽光が発電した電気を使って外気温と水温が高い時間帯にお湯を沸かす。しかも設定温度は「エコキュート」よりずっと低い。そうすることで高い外気温の時間帯の熱を利用でき、沸かす水も低温化していないので、太陽光発電が作る電気だけでほぼ足りる。そのためガスの消費もほとんどなくすことができる。加えて慧通信が努力して、使わなくても費用の掛かるガスの基本料金をゼロにすべく交渉している(一部すでになくなっている)。

▲慧通信が開発したエコワンソーラー

もし自宅に太陽光発電をつけていて、FIT(固定価格での買取制度)が終わってしまった場合は「エコワンソーラー」にしてソーラー装置を有効に活用できる。
 
「エコワンソーラー」は日本でほぼ唯一、誘導電流に対応できる「停電対策ユニット(APF)」が組み込まれている。わずか1kWh分だが蓄電もされており、これで災害時でも命をつなぐのに必要な「風呂・トイレ・冷蔵庫」の電気は、次の発電がされるまで一日程度は守られる。ただし電力消費が長く続けば対応できなくなる。
 
消費電力が大きすぎるドライヤーや掃除機は、「エコワンソーラー」が電気を供給する「トイレや洗面所のコンセント」に差すのはおすすめしない。(工事の際に設定できるが、電気工事では、すべての電源にAPFをつなぐのではなく、「いざ」というときに必要なライフラインとつなげておくことをおすすめする)
 
ただ、「エコワンソーラー」の最大の特徴は「誘導電流」に対応できることだ。
家庭で電気を使う場合、あり得ないような電気負荷を掛けてしまう使い方をする人も多い。電気負荷が大きすぎたり、一瞬だけ電気消費が多くなるモーターを使ったりする。この瞬間的な電流の増加を「誘導電流」といい、電気を扱う上で厄介な電気の性質の一つだ。誘導電流に対応できないと、装置がその瞬間に使えなくなり、停電になるようなことが起こりかねない。
 
この「誘導電流」に対応できるのは、日本で初めて独立電源を商品化した「慧通信技術工業」だから可能になった仕組みだ。それは、あまり電気のことを知らずに生活してきた人にとっても安心を与えてくれる技術だ。
 
ここに蓄えられた1kWhの電気だけで、停電時にも、風呂はもちろん冷蔵庫、トイレまでは自給電気で賄える。その中に「誘導電流」に対応できる仕組み「APF(停電対策ユニット)」を組み込んでいる。
 

APFの仕組み

心配な場合は、クルマの電気やプロパンガス発電をつなぐこともできる。
 
この「APF(停電対策ユニット)」には直接太陽光発電からの直流の電気が送られており、この一台を中心にして、「オフグリッド(送電線網から離れること)」に向かう第一歩が踏み出せる。

エコワンソーラー と天然住宅

この給湯だが、お湯が貯まっているということは、それだけ「熱」にしてエネルギーを蓄えていることと同じだ。「電気」を貯めるのも良いが、「水に熱を貯める」のも良い仕組みだ。いわば「熱のバッテリー」となっているのだ。
 
よく夏場のコンクリートに熱が貯まっていて、夜近くを通ると「ムッ」とするが、それはコンクリートに蓄熱性があるからだ。しかしそのコンクリートより水のほうが倍以上の蓄熱性がある。「蓄電」しようとするとバッテリーの購入に費用がかかるが、水ならかからない。
 
そして1kWhの蓄電だが、「エコワンソーラー」にはリサイクル可能で、安全性の高い「密閉型の鉛電池」が使われている。「密閉型」だから水素が漏れて爆発する心配はないし、「鉛バッテリー」だから現在でも完全リサイクルが可能だ。費用もわずか3万円(15,000円×2台)で、5年近く持つ。
 
慧通信では完全自給には「オリビン型リン酸鉄リチウムバッテリー」を使った「パーソナルエナジー」を提供している。「オリビン型リン酸鉄リチウムバッテリー」も寿命が30年以上あってとてもいいのだが、最初から導入するには費用がかかりすぎる。むしろ高くない価格で交換できる「密閉型鉛バッテリー」から始めた方がいい。これで風呂・トイレ・冷蔵庫のエネルギー自給確保ができる。そこから始めて、次第に自給可能性を増やしていってはどうだろうか。
 
その話を天然住宅スタッフにしたら、「それに断熱性能の高い建物の天然住宅、さらに家庭菜園で食べ物を自給したら、もう怖くないですね」と言ってくれた。


 
天然住宅の断熱性能は「高断熱」だが「高気密」ではない。自然素材で建てているから空気が抜けるのだ。これを家の「熱量」から見て欠点と捉える人もいるが、それは自然なことだと思う。
 
「高気密」を作り出すために、家をビニールと接着剤で覆ったりするが、そのほうがずっと健康に良くない。コロナ問題になってから、あちこちで通風するためにドアや窓を開けたりしているが、それより木の空隙を抜けて風が通るほうが良くないか。


 
しかも天然住宅でよく使うスギは、抗ウイルス効果がある。「シンケンハウジング」の今年3月号に「スギ無垢材の抗ウイルス効果実証、新建材に比べ感染力を99.9%低下」という記事が出ていた。「無垢のスギ材」とあるが、天然住宅ではそれしか使っていない。実験は飛沫がスギ材に接触した場合を想定しているが、天然住宅ではスギ材の中の細かな隙しか通気していない。つまり実験以上に抗ウイルス効果は高いはずだ。


 
「卒FIT」と言われる固定価格買取の終わってしまった人のソーラーの活用にもなると言ったが、ソーラーパネルは20年以上持つ。しかも時間が経過しても、少しずつ発電効率が落ちるだけで全く使えなくなるということではない。その「太陽光発電パネル」も発電効率が高くなって、価格は安くなっている。近いところに電気自給の時代が近づいてきている気がする。

次は何を自給しようか

自然エネルギーと言っても太陽光発電ばかりではない。小さな小川に本当に小さな水車をつけることもできる。数百whにも満たない発電だが、流れを妨げることなく設置して発電するだけで、一日24時間流れていさえすれば相当な量を発電する。
 
仮に500Wでも24時間で12kWhの電気が作れる。なんとそれだけで通常の家庭の屋根に設置する太陽光発電の3〜4倍になる。太陽光発電は晴れている日照時間だけだが、夜間でも雨でも発電するからだ。これを地域の電力自給につなげたいと思う。
 

一日3〜4kWhの消費電力の我が家と同じ消費電力量なら、これだけで12軒が自給できる。
 
ちょっと我が家の周りの水路の写真を撮ってみた。

都会ならドブというところだが、水に濁りはなく澄んでいて、春を過ぎれば小魚が上り、蛍もたくさん出るきれいな流れだ。深さは10センチ程度、幅も50センチほどしかない小川で、年に一度ぐらいは大雨で水が多くなって、周囲の水田を水没させる。こんな川でも数百ワットは発電する。こんな些細な電気も利用したい。それだけで電力会社に頼る必要はなくなる。
 
エネルギーでなくてもいい。畑を耕してコメ・野菜を育ててもいいし、地域の木材を利用して暖を取るのもいい。慧通信の粟田さんは、鳥取の農地で水田もしている。船も運転し漁業もしている。その自由な暮らしぶりは地に足が着いた暮らしの上にあると思う。
 
このエコワンソーラーの設置も取り扱いも天然住宅でできるようになる。人々が自由になれる暮らしをサポートしたい。そんな天然住宅であれたらいい。
 

天然住宅コラムより

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