たまたま見ていたNHK朝ドラ「虎に翼」で知った「総力戦研究所」。
昭和15年に施工された勅令により設置された内閣総理大臣直轄の研究所。
国家総力戦に関する基本的な調査研究と“研究生”として各官庁・陸海軍・民間などから選抜された若手エリートたちに対し、総力戦体制に向けた教育と訓練を目的としたものであった。
1941年(真珠湾攻撃の3か月前)、この組織が日米戦争を想定した机上演習(シュミレーション)を行った。
その結果は、
「開戦後、緒戦の勝利は見込まれるが、その後の推移は長期戦必至であり、その負担に青国(日本)の国力は耐えられない。戦争終末期にはソ連の参戦もあり、敗北は避けられない。ゆえに戦争は不可能」
という
「日本必敗」
の結論を導き出した。
これは、現実の日米戦争における戦局推移とほぼ合致するものであった(原子爆弾の登場は想定外だった)。(参考wikipedia)
日米開戦は避けるべきだとの提言に対し、当時の陸相 東條英機氏はこのように述べた。
「諸君の研究の労を多とするが、これはあくまでも机上の演習でありまして、実際の戦争というものは、君達が考えているような物では無いのであります。日露戦争で、わが大日本帝国は勝てるとは思わなかった。然し勝ったのであります。あの当時も列強による三国干渉で、やむにやまれず帝国は立ち上がったのでありまして、勝てる戦争だからと思ってやったのではなかった。戦というものは、計画通りにいかない。意外裡な事が勝利に繋がっていく。したがって、諸君の考えている事は机上の空論とまでは言わないとしても、あくまでも、その意外裡の要素というものをば、考慮したものではないのであります。なお、この机上演習の経緯を、諸君は軽はずみに口外してはならぬということであります。(表記は現代式に改め)」
何度机上演習を繰り返しても結果は日本必敗。その結果を聞いても戦争を避けるどころかそれを口止めし、あの敗戦となってしまった。
なんと愚かなことか。
8/15発行の田中優有料活動支援版メルマガ「「総力戦研究所」のあとさき」でも書いた。
終戦から79年、原発政策を始め色々な問題に対して、「総力戦研究所」のような分析力と判断を私たち市民自身が持てるようにならなければならないだろう。
そしてそれをNOとみんなで声を上げていこう。
画像は国立公文書館デジタルアーカイブ、国立国会図書館デジタルコレクションより。