この話を読んで、戸籍を東京大空襲で失ってしまっていた人のことを思い出した。
その人は空襲で家族も戸籍も家も失い、結婚して戸籍を強引に持ったのだが、離婚に際してその戸籍を失ってしまった。だから彼は戸籍を持ち続けたかった。
しかし戸籍がないから免許も持てず、年金にも入れず、年老いたのに収入が得られなくなった。
空気のようにあるのが当たり前に思っていることが得られない人たちがいるのだ。
彼は教育も受けられなかったので字も書けなかった。
そこに実在する人に実在する権利を与えられなければ、生き続けられないのに。