住宅の「高気密」は大事なのか?

笑ってしまうような話だが、「コロナ」が流行ったせいで「空気の入れ替えをしなさい」の声が大きくなって、北海道の店ですら換気をするようになった。

飲食店では30分に一回全開にしなればならなかったり、あの寒ーい北国ですら普通の家庭もあちこち窓を開けているという。聞いているだけで寒気がしてくる。
 

ところが建築士の間では、相変わらず「高気密・高断熱」の話ばかりだ。高断熱は必要だと思うが、「高気密」はどうなのか。

高気密にすれば断熱性能は高くなるが、その分だけ空気の入れ替えが必要になる。内外で温度が違えば、そりゃ当然結露もする。そこんとこうまくやることはできないもんだろうか。

 

▲天然住宅では、いわゆる高気密住宅はめざしていない。
断熱材は吸放湿性能の高い羊毛を選び、壁内には湿気の通り道をつくって、壁内結露のない家を実現している。

「ロスナイ」という熱交換しながら換気する装置を自宅に入れたことがあるが、あまり空気が入れ替わらなかった。


そこで調べてみると、木材にもウイルスの不活化効果がある。ウイルスが生き物だとしたら殺菌効果だ。だが殺菌するわけじゃなくて、居場所を失くさせる効果があるのだ。 

参考資料(平成28年度「奈良の木で健康になる」実証事業 奈良県農林部奈良の木ブランド課より)

http://www3.pref.nara.jp/naranoki/Images/health/result/04.pdf?fbclid=IwAR3IXLGa8azF6We-Yjpvq4dKjK4vDsEUms3SaAB0P-7sHebpuzQv8Ff_cyI

もともと生き物は海の中で生まれた。生物は約五億年前まで陸上にすら上がることができなかった。だいたい生物の持っている機能は、今の生物種になる前の時点であらかた持っている。ウイルスは約30億年前には存在していたらしく、「遺伝子の宝箱」のようなものでそれを活かして生物種はさまざまに進化した。

 

例えば「胎盤」だ。母体にとって「異物」であるはずの父と母の遺伝子を融合させた「胎児」を育てられるのは、「胎盤」のおかげだ。それはウイルスからの贈り物で、「異物たる胎児」に母体からの栄養などをフィルターにかけて届ける役割を果たしている。そのおかげで非常に高い確率で「胎児」は育つようになった。ウイルスが持っているのは「敵」として扱われるような機能ばかりではなく、あまりにも身近で分からないだけで、生命にとって重要な働きをしているのだ。

こうしたウイルスと生物との共生のためには、長い時間と相互のやりとりが必要だった。それによって「胎盤」すら作られたのだから、ウイルスに対する「免疫機能」だって当然作られていただろう。その原始的な仕組みが、植物の持つ「ウイルスに対する不活化効果」ではないか。

 

30億年前からだから、生物が上陸する5億年前のはるか前からウイルスはいた。海藻はそれより後だ。自ら逃げ出すことができないから、ウイルスを不活化させるしか手がない。そして木で言えば「フィトンチッド」のような精油分を用いているのだろう。

そうだとしたら、木の持っている「ウイルスに対する不活化効果」を利用して対策した方がいい。ウイルスは微生物より100倍以上小さいので、もちろん木材を通り抜ける。その木材自体の「不活化効果」に期待したいのだ。それなら高気密の住宅よりも、物理的に見ればスカスカの木造住宅の方が良いものになる。

 

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2021.2.26配信 天然住宅 田中優コラムより転載

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