「川で死なないために ボクが実践していること」

田中優

ぼくの信頼する友人、新村安雄さんが2015年に中日新聞に載せている連載、とてもいいんです。 


ぜひ読んでみてください。
本人見ていると、照れのようなものも手伝って褒める気にはならないんだけど(笑)、本当に良い原稿です。     


 

川で死なないために、当然の豪雨 雷雲から命を守るためにボクが実践していること。

 – リバーリバイバル研究所 
http://blog.goo.ne.jp/niimuray/e/e052bcc28f72b921fde327f86c8ff1de より転載

川で死なないために。

長良川の上流、郡上八幡には伝説的な釣り師がいた。そのひとり恩田俊雄さんは全国に知られたサツキマス釣りの名人。請われて釣り場所や仕掛けなどを教えたあとで恩田さんはこう言った。

「釣り始める時、水際に小石をひとつ置きない」

 その小石は、直径5cmくらい、水面ぎりぎりのところに置く。釣り場から見えるような場所を選ぶ。

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小石に水がついたら上流で雨が降りだした証。
小石が流れたら命が危ない、すぐに川から避難しなさい。


川で生きてきた釣り名人の命を守る教えだった。

 

電波の状態が良い場所では携帯電話・スマホなどで最新の気象情報を確認することが大切だ。
しかし、谷筋や、上流域などの釣り場、キャンプ場では電波が届かないことも多い。

そんな場所で雷雨の接近を知るのにはラジオだ。

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バンドはAM波を選び、放送局からの番組は選局しない。
放送局を選曲していると、ラジオの電子回路が雷の発する電波を邪魔者として消してしまう。

ラジオからザーというノイズだけならば近くに雷雲はないが、バリッという音がしたら雷雲が近づいている。早めに屋内や自動車の中などへ避難する。雷鳴が遠ざかってもラジオからはバリッという音が聞こえたら、まだ落雷の危険は去っていないからご注意を。浴室用の防水ラジオは野外でも便利。   

雷雲の接近を知る道具として米国製の雷警報器というものもある。雷雲発生で警報音が鳴り、LEDが60キロ先から四段階で雷雲までの距離を表示する。

 

谷沿いの小さな川にいた時のことだ。木立越しに見える空に雲の影もなかったのだが、水中からサワガニの群れが現れ一斉に崖をよじ登り始めた。妙なことだと高い場所に移動したが、10分もしないうちに鉄砲水が上流から押し寄せてきた。生き物の行動が危険を教えてくれることもある。自然の中では何かの変調を感じることも大切なことだ。(魚類生態写真家 新村安雄)

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