環境家計簿
我が家はエネルギーその他、なるべく自給している。だから「環境家計簿」的に計算してみると、普通の家の二酸化炭素排出量より80%も少ない。これだけやればと思っていたのだが、別なやり方でも達成できることに気づいてしまった。
「環境家計簿」は毎月使う電気・ガス・水道などの消費量で計算する。ということは、もし毎日外食していて台所を使わず、ホテルを転々として暮らしていたとしたらその値は限りなくゼロに近くなるのだ。それに気づいてしまうと、ただ単に毎月の光熱水の消費から計算するだけでは十分ではない気がしてきた。地方にある我が家は自動車を使う。そのガソリン消費をなくすのに、毎日タクシーに乗ると、ゼロにすることもできてしまうのだ。
エコロジカルフットプリント
その部分を計算することはできないだろうか。しばらく考えて、「エコロジカルフットプリント(エコ的に計算した足跡の大きさ)」を思い出した。それはその暮らしを維持するためのものを二酸化炭素排出量に見合った吸収できる土地の広さとして、消費する食品を生産するための農地の広さ、さらに輸出入するためのエネルギー量に見合った土地の広さで表示するのだ。広さで計算するので、そのトータルは面積になる。それを地球上の農地などと比較する。
地球上の人々の暮らしを支えるには、現在1.7個の地球が必要になることになる。すなわち0.7個分だけ余分に地球を収奪しているのだから、このままでは地球を荒らし過ぎたために人類は滅びることになる。そんな計算になる。
日本人だけを計算してみると、日本の面積の1.5倍だ。私たちの暮らしは持続可能ではないのだ。その計算をしてみると、問題は企業ではなく、最終消費者である私たちの問題となる。そのフットプリントの大きな方から見ていくと、食料が36%で最も大きく、次にサービスが19%、交通が17%、住居が15%、商品が13%と続いている。
住宅のフットプリント
この数値を見ながら考えていた。どうすれば下げられるのだろうかと。たしかにどれを買うときもフットプリント(足跡)が小さなものを買うのがいい。輸入品ではなく地産地消のものを選び、なるべく生産時にエネルギー消費量の少ないものを選びたい。
ところがそこで思い出したのが日本の住宅の現状だ。家は15年ほどで価値がゼロになり、30年ほどで建て替えられている。他の先進国にはあり得ない短命さだ。そう、この計算を個別にするときには、分母で割ってやることが必要なのだ。同じ家のフットプリントでも300年使うならば1/300になる。フットプリントが大きいクルマであっても、長年使えたら一年あたりのフットプリントは減るのだ。
そう考えると、すぐに壊れたり飽きてしまったりするような家を建築することが問題だ。たとえフットプリントが多少大きくても、長く使える方が良い。天然住宅ではほとんど国産の資源を使うからもともと少ないが、一番大きな違いは長く使えることだ、つまり分母が格段に大きいのだ。長く使えることの価値を再評価しなければならないと思った。
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天然住宅田中優コラムより転載しました