2021.4.9田中優公式動画チャンネルにて動画をアップしました。
ぜひご覧ください。
田中優「311から10年・・何を教訓とするか?」
311から10年を迎えて思うこと。
日本人が肝に銘じなければいけないこと。
放射能の被害の恐ろしさ、これから海に垂れ流そうとしているトリチウムの危険性などについて田中優からの緊急メッセージ。
2:18 放射能の被害について
7:04 トリチウムは危険!海に流しては絶対にいけない
11:07 311の教訓とは?
メディアも私たちも意識を変え行動していこう!
以下、書き起こし全文です。
311から10年が経ちました。
10年間経ってどういう風に変わったのか?
についてのお話をしたいと思います
これは「特別授業3.11」という河出文庫から出された本です。
この311がぼくにとってはとても大きなきっかけになりました
ひとつ、大きく変わったのは、311がなかったならば今こうやって岡山に住んでいることはなかっただろう、ということです。
ちょうどこの本も出て「災害列島・日本」ということで、311から10年目ということで出されている本です。
10年経って何が変わったか?
何が変わっていないか?
というところが一番気になるところです
そこでぼくが思うのはとにかく311の事故です。
津波も強烈なことでしたし、そして地震自体もものすごく怖いことですが、ところが残念ながら日本には地震というのは嫌でもやってきます。
そしてそれに伴って津波が起こるということも、貞観(じょうがん)地震というのがあって、実は東北は今回の311とほぼ同じくらいの津波に襲われています。
日本の場合は残念ながら地震は避けられません。
そして津波も残念ながら起こってきます。
今も今度は東南海地震がだいたい100年に1度起こるものですから、そろそろ起こる時期と言われています。
ぼくにとってとにかく311事件、事故というのは、福島原発の問題が一番大きな問題だと感じています。もし原子力発電所がなかったならば、人々はこんなに苦しまなかっただろうと思うからです。
どういう影響を及ぼしたか?その放射能の問題によって人々は影響を受けることになってしまった。
こちらの本、西尾正道さんという方が書かれている「放射線健康障害の真実」という本がありまして、
この本の中に載っているのは、
放射能の問題について外部被ばくと内部被ばくがあって、外部被ばくというのは外から放射線を浴びること、それに対して内部ひばくというのは放射能を食べたり飲んだり吸ったりして体の中に入れてしまって、体の内側から放射線で打たれることの違い。
どちらも放射線が影響を及ぼすわけですが、その時大きな被害というのは内部被ばくによってもたらされる。
というのがこの本に書かれています。
実際この西尾先生という方は医者で、それにより色んな治療をやるわけですが、その中には放射線によって治す部分もあります。
その時に「ガンマ線」、一番遠くまで飛ぶけれども被害の与える程度は一番軽いものです。
そのガンマ線とそれよりももっと飛ぶ距離は短いがものすごく被害を与える、言うならばピストルの球と爆弾くらいの差がある「ベータ線」、そして「アルファ線」というものがありますが、その被害が大きいんだということを書いている本です。
ガンマ線だけを使うのであれば、そのガンマ線を使って表面だけを焼き殺す、例えばガンなどのときにそういうことを実際に可能だ。でも、それによってガンが起こることは実にまれなんだ、ということをこの本で書いています。
ぼくもそう思っていて、とにかく危険なのは内部ひばくだ。
内側に放射能を入れてしまうこと、そして内側から放射線によって打たれること、それが一番怖いことだと思っていました。
だから食べ物、呼吸、飲み物、こういったもの通じて体の中に放射性物質を入れてしまう
内部被ばくが最も問題なので、それを何とかしていかなくてはいけないと考えていました。
そしてぼく自身東京に住んでいましたが、東京では実は311のあと原発事故が起こり2回に分かれていますが東京にもその放射能の、放射性物質が飛んできているんですね。
日本はほとんどが西風ですからだいたい9割近くが太平洋に流れていったんだけれども、ところがその福島原発から逆に北風が吹いて南側に吹き下りた時が2回ありました。
その時にやっぱり東京にも放射能が飛んできているんです。
その時に東京ではそれがどれくらい飛んできているかを調べているところが新宿区にありまして、データを見るとやっぱり飛んできたその2回の時の放射能の量が非常に高いんです。
一番危険なアルファ線を出す核種は、ものすごく重たい核種なんです。ですからそれほどまで遠くには飛ばない、だけども全く飛ばないわけではない、あくまでも相対的に遠くまでは飛びにくいというものです。それも東京にもわずかには来ている。
そしてそれを体の中に入れてしまうと残念ながら内側から打たれるので、アルファ線は紙を突き抜けることもできない、だけどもその周辺は徹底的に壊す、というのがアルファ線です。
ガンマ線はとにかく何でも突き抜けていくけれどもそれこそ鉛でやっと止まるようなものだけれどもその代わり被害は先ほど言ったとおり表面的なものになるわけです。
それの中間に位置するのがベータ線、ベータ線で来たものは体の中だと1㎝くらいの間しか飛ばない、そして被害もそのくらいになります。
今回問題なのは、海に流そうとしている「トリチウム」、
トリチウムは何かと言うと、実は水なんです。「水素」。
水素の中でたまたまその陽子と中性子があるわけですが、中性子の数が多くてそのために安定化するためには一つベータ線を飛ばすことによって安定化していく。そのベータ線というのはこれまでものすごく測りにくい、測れないんです。
今回トリチウムというのは水、つまり体の中の7割以上占めている水の性質を持っているので体中に入り込んでしまう。
本来蓄積性はない、体の中に蓄積されないと言われてきたんだけれどもどうもそうでもない。
というのは有機物と化合してしまったときに、有機トリチウムになる。
その有機トリチウムになると体の中のどこかしらに蓄積してしまう。
しかも体というのはほとんど水ですから、その水の中にトリチウムに入れ替わって入り込んでしまう。
だからとてもトリチウムというのは格段に危険なもの。
ところがその格段に危険なものを日本は何兆ベクレル、何京ベクレルという単位で海に流そうと今進めているわけです。
こんなバカげたことを絶対にやってはいけない。ところがそのことに対しても安全神話が人々の中には浸透していて、トリチウムは蓄積されない、だから大丈夫なんだというような一部の人たちが言っている意見がそのまま伝わってしまっている。
ぼくはこれによって被害が残念ながら後になって出る、だいたい10年後からだというからつまりこれから出るというようになっていくわけです。
それを考えると、本来気をつけなければならないものを、気をつけなければならなくなった時期になって、何と海に膨大に流そうとしているわけですね。本当にばかげています。こんなようなことは絶対許すべきではないと思います。
そしてこういう風な安全神話です一種の。安全神話がまた再び出てきてそれによって原子力は良いものだからもう一度復活させようみたいな動きが進んでしまっている。
そもそも原子力は生物、生命体とは相容れないものです。ですからそういう風なものはそもそも増やしてはいけない。放射性物質を増やしてはいけない。
にもかかわらずその放射性物質を現在増やすことをしようとしている。
流れの中で例えば、青森県の六ケ所村のところに作られようとしている再処理工場ですが、再び三度進もうとしている。もちろんここからはトリチウムが膨大に出るんです。
だいたい六ケ所村の再処理工場だと1年間に出す量を1日で出す300倍くらいですね。膨大に出すわけです。そんなものを作らせてはいけないし、そういうものを作ろうとまた考えること自体が、原子力についての危機感が風化している証拠なんじゃないかと思います。
嫌でも日本では再び地震が起きます。
そして津波も起きます。
その時に危険なものを置いておかないことがまず大事なんです。
ですから原子力はもう絶対に止めるべきだと思っています。
311の教訓というのは、本来もうこういった危険なものは作らない、作らせないというのが教訓に
なるべきだったと思います。
ところがそれが残念ながら今、風化しているのか少しずつ人々の中から忘れ去られている。というのはメディアがこういうことをきちんと紹介しないから。そのせいで人々がその危機感が薄れていく。
こういうこともきちんと一度調べるなりすると、あぁそうかこれほど危険なのだったら、もう二度と作るのは止めるべきだとなるはずなんです。ところがそういうことをきちんと調べていない、考えていない。そしてそれはメディアの方もそうだから、人々の方もそうなってしまう。それによって今の事態が作られてしまっていると思います。
日本には地震があります。否が応でも地震が起きます。
そして大きな地震が起きれば、それに伴って津波も起きます。
今回の原発事故というのは、(元東電技術者の)木村敏雄さんという人が言っている通り、津波で壊れたのではなくて、地震自体によって原子力発電所が壊れています。
そしてそれによってものすごく放射能がまき散らされて、日本各地に放射能の被害を及ぼした。
その被害は私たち大人よりも子どもに出ます。とにかく細胞分裂が活発な子どもの方に被害が出る。
そしてそれ以上に出るのが胎児です。
その小さな子どもを守っていきたい未来を守っていきたいと思ったら、原子力はやってはいけないものだと思います。
そのことについてきちんとまだコンセンサスが得られたとは言い難いところにあります。
“原子力を再稼働させますか?”というのに対して人々は8割は反対していますが、ところが国はそれを取り上げない。これを方針変換するのは難しいからダメなんだみたいなことを言っている。
これは明らかな間違いです。
日本には地震がある、津波も起こる。
それによって原子力なんて繊細なものを作らせてはいけないんです。
そうすれば必ず事故は起こります。
残念ながらすでに作られてしまったもの、廃炉にされた原子力発電所であってもその被害が再び起きます。そしてまた六ケ所村再処理工場が出来上がれば、その被害の大きさは今までよりもはるかにそれこそ何万倍という被害の大きさになっていくわけです。
こういうものを作らせてはいけない。
そう考えると311で学ぶべきことは、生命体にはどうしても許してはいけないものがある。
生命体そのものを壊してしまうような原子力というような技術が、いかにどんな素晴らしいメリットがあったとしても許してはいけない。
そのことが私たちが肝に銘じるべき一番の教訓ではないかなと思います。
311から10年経って、それがもっと強くならなければいけない。
そして人々がそれを排斥しなければいけない時に、事故が風化して人々が再稼働を許すような方向に進むのだとしたら、それは明らかな間違いです。
こういうことを絶対させないようなことを、私たちが食い止めていかなければいけない、という風に思っています。