ホームバイオガス
先日知ったのだが、イスラエルに拠点を置く会社が「ホームバイオガス」を開発したそうだ。食品廃棄物や有機廃棄物をクリーンな調理用ガスに変換するバイオガスシステムで、ガス生成過程で生じる副産物は液体肥料(液肥)として使えるものだ。
写真はgreenzより
その仕組みも組み立ても簡単で、家庭の裏庭に設置できる。期間限定価格995ドル、日本円にして10万円ほどの価格だ。電気も不要で1日に約3時間の調理に使えるガスを作り出し、電気に直すと約6キロワット時のエネルギーを作り出すそうだ。しかしどの程度の有機物を使っての話なのかは不明、家庭内で大きな量を占めるであろう糞尿は使わないもののようだ。
自立するために
西欧の考え方では糞尿というものはかなり汚い物という認識なので、使わないのかもしれない。しかし使えればトイレの汚水を流す必要もなくなるから、かなり役立つことになる。そして肝心な有機物投入量が知りたい。膨大に必要なのでは、日本のように食料廃棄物が多くない国では足りなくなるかもしれない。それを考えると、やっぱり国産のものがほしい。
我が家がオフグリッドにしていることはさんざん伝えた。電気も水も自給、温水は太陽温水器、暖房はペレットストーブ、電話もインターネットも無線だからつながるものがないと。
しかしそれでも必要なのがプロパンガスだ。お湯の温度が低い時や煮炊きには、どうしてもガスが必要になってしまうのだ。これが解消されれば、まるで離れ小島に暮らしているみたいに自給可能になれる。別に孤立して生きたいわけじゃない。ただ自立して生きられる部分を広げたいのだ。それができるかもしれないと思うと、冷静ではいられなくなる事態なのだ、はぁはぁ。
メタンガスの可能性
もともと有機物を空気に触れないところで分解させるとメタンガスができる。メタンガスは別名「都市ガス」だから、熱利用することは可能なのだ。メタン発酵させるには60℃程度の温度が最適だから、日本では寒すぎるかもしれない。でも6キロワット相当のガスなら、貯めておけば加熱にも使えそうだ。第一、太陽光に適さない冬場の日本海側で使えたら、冬も発電してさらに余熱で暖房ができるかもしれないのだ。
こんなふうにしてライフラインを自分で持つことができるようになったら、私たちの生き方は相当自由なものになれそうに思う。誰か日本で作ってくれないかな。そう思っていたら株式会社アミタホールディング社会長の熊野さんが我が家に訪ねてきてくれた。アミタ社はバイオガスを実現している。「なんとか小さなものを作れないか」と言ってみた。
「小さなものは難しいんですよ」
そりゃそうだと思う。でもそれができたら、より独立して暮らすことができるのだ。清潔性・利便性を失わずにできる日が来ると思っている。
2016年2月3日発行 田中優 天然住宅コラムを転載
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