すまうとの家具を見学会にて展示
高尾山近くの天然住宅の見学会に「すまうと」さんが協力してくれて、その家具を新居に配置してくれた。
この「すまうと」の野木村さんが、以前に言ったようにスティーブ・ジョプズに似ているのだ。アイパッド持たせたら、そうとしか見えないくらい。
その野木村さんは構造設計の専門家だから、素材の強度を活かしながらデザインに余分なものがないものを作る。しかも化学物質を使わないのだ。
害のない天然素材の「のり」が、接着剤の五分の一の接着強度しかないと知れば、接着面を五倍に増やしてしまうというような手の込んだこともする。
そうしてできた家具は、しかもとても美しいのだ。
天使の椅子
ぼく自身が個人的にお気に入りの、「天使の椅子」をついに買ってしまった。友人が使っていて、最初は筋肉に力が入ってお腹が痛いと言っていたのだが、それが解消すると、なんとポッコリお腹が凹んでしまったのだ。友人も「ポッコリ仲間」だと思っていたのに、いち早く抜けられてしまったのだ。そう、今回これを買って、ぼくも「ポッコリ族」から足抜けしたいと思ったわけだ。
その理由について、整体師の知人が教えてくれた。椅子に座った時の姿勢が、まるで正座した時と同じような姿勢になっているからだそうだ。それで座っているだけで姿勢が正され腹がへこみ、腰痛も肩こりも良くなっていくのだそうだ。その整体師自身が家族に買っているのだから嘘ではないだろう。
ギタリストのための椅子
そもそもはギタリストの友人のために作った椅子だった。ギタリストが常に会場にある「パイプ椅子」を与えられるなんて、気の毒な話だ。覆面レスラーじゃないんだし、パイプ椅子が必要ではない。自分のものが使いたい。その要望に応えたのだそうだ。
そして今回展示された家具類の中には、なんとその人オリジナルの椅子を作るための計測器もあった。自分専用の体格・姿勢に会った椅子を作るためのものだ。測ってもらって驚いたのが、背もたれの部分では、わずか一ミリの違いが大きな差になって感じられる。わたしたちが椅子に合わせて姿勢を作ってのは、実は「逆」なのだ。椅子に座っているつもりが、椅子に座らさせられていたわけだ。
見学会に協力してくれたUさん家族と話した。「この家具は目の毒ですね、どれも天然素材の家にとても似合っていて、買いたくなっちゃいますね」と。
そうなのだ、家を建てる前からそうした家具を使っておくのがいいと思う。そうすれば、家の中で家具だけが浮いて見えないし、臭い的にも問題なくなる。でもUさんみたいに新築直後の生涯で一番財布が厳しくなる時に、「すまうと」さんの家具を見せられるのは酷な気がする。
2018年8月発行の天然住宅田中優コラム「持続可能な社会を目指して」より転載しました。
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