使い続けるための住まい

築10年の家

家を長く使うためには、当然住む人の手入れが大切だ。

といっても家を締め切ったまま不在にしないことや、空気の入れ替えを行ってほしいなど、当たり前に住んでくれていれば大丈夫だ。汚れてきたと感じるなら、この天然住宅のウェブサイトで手入れ方法も説明しているので参考にしてほしい。

そして住んでいるうちに周囲の環境も変わってしまうだろう。私たちとしては、周囲や経済程度が変わろうと、持続して暮らしていけるように自給できる部分を多くできる方法も模索している。

家庭菜園を利用して安全でおいしい野菜を栽培したり、光熱水費に対しても自給部分を増やせるように考えている。もちろんそれは建築時に同時にしなくていい。資金的に余裕ができたら太陽熱温水器を導入したり、電気自給を目指したりすればいい。それが可能になるような余地を住宅に持たせようとしているだけだ。
 

建築後に設置した太陽熱温水器

 室内での洗濯物の乾燥は、結構臭いが残ったりして大変だが、天然住宅仕様の住宅なら、無垢の木材が多く使われているためその分だけ吸湿能力がある。これまで建ててきた家では室内干しでも臭いがつくことはない。木材の吸湿能力の違いと、スギの殺菌力のおかげだと思う。我が家も「くりこまくんえん」の木材を使った天然住宅仕様の住宅だが、室内干ししていても臭くならず、乾燥してくれる。


 
 もう一つ面白いのが、スギの無垢材には殺菌効果があるのに発酵菌に対しては支援してくれることだ。梅酒や漬物、醤油や味噌に対しては発酵を早めてくれる効果がある。カビないのに発酵は早めるのだ。
 
 それが証拠に、酒蔵・味噌蔵・醤油蔵にはスギ造りが多く、スギ造りであることを謳う商品も増えている。我が家でも梅酒や果実酒を作っているが、それらと相性が良いのだ。だから「スギ樽造り」であることを謳うのだ。


 
 布団も同じで、無垢のスギを使った天然住宅の家なら、外で布団を乾燥させなくていい。階段の手すりに掛けておけば乾燥する。しかもダニは殺菌されてつかないのだ。テレビCMで掃除機でダニを吸い込んだりしているが、天然住宅の住まいならその必要がない。そもそも虫が嫌うのだ。

階段の手すりを杉にすれば、布団干し場にも使える

 長く使える仕組みがあちこちにある。普通の家が20~30年で建て替えられていくのがもったいなくて仕方ない。

 もし天然住宅を選んでくれた人たちが長く使ってくれたら、それだけ資源は無駄にされず、使っている間に森は再生して成木となり、環境はより良くなるだろう。そうした持続的な暮らしの第一歩として「KAERUIE」が役立ってくれたらいいと思っている。今もまた、そうした暮らしからの改善策を求めて他社と協力を開始しようとしている。これから先に始めて行くことにも注目していてほしい。天然住宅のすることは、未来のための試行錯誤として努力していく。その成果を積み重ねていきたいと思っている。

 
 

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2021年11月発行の天然住宅田中優コラム「持続可能な社会を目指して」より転載しました。

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