インタビュー記事より「これからの生き方」

フリーペーパー「I shiki Magazine」より



Q1. 3.11以降、意識して行い始めた事や、物事の捉え方などに変化はありましたか。


田中優 : 食べ物ですね、特に外食のときは気にしています。ただ25年前から脱原発の運動をしていますから、捉え方に変化はありません。むしろ、このタイミングで知らせなければ聞いてもらえなくなってしまうから、必死に伝える努力をしていました。

 そして今気にしていることは、運動の息の長い継続性です。
チェルノブイリのときには一過性の問題意識になってしまいました。今度こそ、ずっと続く問題意識にしていかなければなりません。

 そこで、運動によって得た成果を否定するのではなく、一歩ずつ確実な足場にして市民の自信にしていかなければならないと思います。

 不十分な政府の「脱原発シナリオ」でも、否定する前にここまでは獲得したという足場にすべきだと思います。そこからさらに進展させるための足場に。
 市民みんなで提出したパブコメ、抗議行動が政府をして「脱原発」と言わしめました。


「本気でそう言ったのなら核燃サイクルは直ちに廃止しろ」

「地震の多い日本では、直ちに原発は止めなければ事故を防げない」

「現に北九州では電気料金をピークの時だけ10倍にすることで、ピークを下げられているじゃないか」

「今や太陽光発電の方が電気料金が安くなるのに、原発ゼロなら料金が倍になるって、やれるんならやってみろ。みんな自給してしまうぞ」

と進めていければいいと思います。

 自分にとっては中途半端な案を「足場」として捉えるようになったのは、捉え方の変化かもしれません。


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Q2. 被災地の復興、エネルギー問題など様々な課題を抱えていますが、これからの「生き方」はどうあるべきだと思いますか。


田中優 : これまでのように「どこかにぶら下がれば安心」という生き方、「寄らば会社の陰」という生き方が成立しなくなったと思います。それでも希望は「安定的な就職ができること」になっていると感じます。

 「昨日と明日が同じになる時代」は終わってしまったのです。そんな時代の中を生きていく自立心が必要になりました。

 幸い、技術はかつてよりはるかに進展しているおかげで、自給して生きられる可能性が高まってきました。電気でも電気自動車でも。農業でも林業でも、インターネットが情報流通を変えたので、最終商品を生産者が販売できるようになりつつあります。

 条件は整いつつあるのに追いついていないのが人々の意識です。

 自分で何もかもするのではなく、仲間でそれぞれの得意分野を生かして、ネットワークすることでそれぞれが生計を立てられるようになる可能性が生まれています。これを生かしましょう。

 オールマイティーにならなくていい、それぞれが自分の好きなことを生かして生計を立てていく。
そんな生き方になっていくのがいいと思います。

 そのためには意識を変える必要があります。子どもを優秀な学校に行かせて就職させるのではなく、その子の持つ可能性を最大限伸ばさせることが大事です。