2012.10.12 ピーターバラカンさんとのラジオトークより

ピーター・バラカンさん(以下-で省略):数日前の新聞で、福島の格納容器水2.8m
 で11シーベルトの線量が出ているのを見ましたた。これはどういうことですか?


優さん:核燃料がまともな状態にまとまっていなくて、もうこぼれ出てしまっていて、
    そうすると40分で即死ですね。それ位のレベルの状態になってしまっていると
    いうのが先日の数字ですね。


━ つまり誰も近づくことが、まだまだできないということですか?


優さん:不可能ですね。だからロボットかなんか使って遠隔操作でやらない限りは、
    というレベルになっています。


━ これはこの先どうすればいいんですか?

優さん:本当はボクは東京電力に任せていてはまずいと思っています。やっぱりそれ
    専門の人たちでみんなで頭を詰めてそれで考えてやらないと解決できないと
    思いますよ。原発動かすことは東京電力はできたかもしれないけど、収束さ
    せるための会社じゃないですから無理だと思いますよ。



━ 普通の状態で停止したとしても、実際に安全な状態になるまでは何十年かかるん
  でしたっけ?40年とか?


優さん:そうですね、それ位かかっちゃいますけども、熱が下がるのに2〜3年かかる
    ということですかね。


━ これから日本の政府は“脱原発、原発ゼロ”というのが出た
 んですが、結局これはお茶を濁したようなものでしたよね。これはどういう風に考え
 ればいいですか?


優さん:今の時点ではせめぎ合っている、というのが実態だと思いますけど、要は原発
    を勧めてきた人たちは全くあきらめていないので、今度選挙になれば返り咲く
    かもしれないということで、今上関原発というのが中国電力のところで造られ
    ようとして、(山口県)知事が水面埋め立て許可を出さないということで止め
    たんだけれども、実は丁寧に読んでみると、“今は出さない”と言っている。

    だからもしこのあと政権が変われば(許可を)出したいなぁというところにいる
    のかなと。だからまだせめぎ合いはずっと続きます。はっきりしたことは何ひ
    とつないような状態かなと。


━ 福島を中心に放射能汚染が続く中、何か放射能対策ができることはありますか?


優さん:チェルノブイリの時のことを見るというのが本当は一番重要で、チェルノブイリ
    ではやっぱりここに住ませなかった。ここには住んじゃだめだよっていう範囲を
    作ったのに、日本ではそのレベルのところにたくさんの人たちが住んでますから、
    だからやるべきことをまずきちんと学んで出さないと、手遅れになってしまうと
    いう心配をしてますね。

    実はごく最近出てきたのが、カナダの研究者が出してきたデータで、年間10ミリ
    シーベルトでちゃんと被害者は増えるというレポートが出てきたんですよ。
    そうすると日本では今100ミリシーベルト以下は影響は出ないんだ、はっきりして
    いないんだみたいなことを言って、20ミリシーベルト以下のところには人を住ま
    せることにしちゃったわけですよ。

    それは十二分に危険になっちゃう。それを考えていくと、とにかく“線をきちん
    と引く”というところから始めてもらわないと、いったん今回のは対策を失敗し
    たので、だからもう一度作り直して線を引くとういところから始めないと難しい
    と思いますね。


━ 政治家たちがそういう気にならなければ、どうやって圧力をかけることができますか?


優さん:それはとても厳しいところですが、ただ期待を感じているのは従来と違うメディア、
    SNSやインターネット、これの力がものすごく強くなってきていて、メディアは
    今その後追いをしているような状態ですね。

    ですのでそちらがもっと強くなってしまえば、人々の意志というのがもっとダイレ
    クトに色んな社会に影響を及ぼしていくだろうと言う期待はしています。



━ つい先日「原発問題に無関心なあなたへ」という本が出ました。
  これには田中さんも参加している?

優さん:そうですね。それで無関心な人にということで作られた本ですが、無関心な人が
    手にとるかどうかが問題ですが(笑)


━ そうなんですよね。その無関心を防ぐためにはやはり我々メディアに携わっている
  人間の問題もあると思うんですけども。

優さん:そうですね、確かに。


━ 田中さんは色んなメディアにも出ていますか?

優さん:実は資源エネルギー庁というところが、日本の中で要監視リストというのを作って
    いたんですよ。先日やっと廃止になったんですが。それでそれまでの間、ボクもメン
   バーの一人にノミネートされていたんですが日本中で60人。

   この人たちがもしメディアで原発についての発言をしたら資源エネルギー庁がクレーム
   をつけてくるんです。“この人の言っていることは間違っている”というクレームを
   つけてきて。


━ 政府が一方的に放送局に対してクレームをつけてくるんですか?

優さん:はい、そして放送局はそのクレームを受けてちゃんと訂正放送をしなければいけない。


━ このことはもうメディアに出てますか?

優さん:はい、一応出てます。そういう形で資源エネルギー庁は対応策を作っていて、
    その中の一人にボクは選ばれてしまっているので、そうすると、僕を呼ぶと
    面倒になるわけですよね。


━ なるほど、じゃあ誰も呼ばなくなっちゃいますよね。

優さん:そりゃあそうでしょうね(笑)


━ 長くあったものなんですか?何年位?

優さん:たぶん10年位あるんだと思います。3.11の事故以降に情報公開でそれを引きずり
   出した人がいて、その人がインターネット上にアップしたんです。その中によーく
   見てみたら“あれ?オレの名前が載ってるわー”って気づいたんですね。


━ ちょっとそれは許せないね。

優さん:そうですね、だからまず民主主義を日本の場合作ってもらわないと。


━ 本当に! 民主主義は成立していないっていうことになりますね。

優さん:まだですね。そしてメディアの方も唯々諾々と乗っちゃっているというところが
    問題ですね。


━ 電力会社がメディアの最大のスポンサーということは、311以降よく聞いていたんです。
  でも今の電力会社はそういう立場じゃないですよね?

優さん:はい、今はそうでもないです。というのは以前はオール電化のコマーシャルは全部
    原価に上乗せして、電力会社は3%の利益を上乗せしてみんなの電気料金からとって
    いいんですよ。だから使えば使うほど儲かるんです。


━ 優さんが監事をしている)「ap bank」について説明頂けますか?

優さん:ボク自身が18年前に市民で勝手に作るバンクを作ろうということで、日本の中で
    始めていたんです。

    実は環境問題は我々のおカネが使われていて問題を起こしているんですよ。
    だから今まで通りの貯金をしていたら事は解決しない、ということで作ったものが
    あって、坂本龍一さんやミスチル桜井さんらと会った時に、おカネが問題ですよみた
    いな話をしていたら、だったらそういうバンクを作れないかなあという話になって、
    お手伝いをしてap bankを作ったんですね。

    でもボクはそのbankの方は詳しいけど、音楽の方は全然詳しいわけじゃないからfes
    の方はもちろん小林武史さん、ミスチル桜井さんその二人がやって作っているもの
    なんですが、そのおかげでボクはそのfesに毎年行かせてもらっていることができて、
    とってもラッキーな思いをしています。


━ そのバンクの活動そのものは今どうなっていますか?

優さん:bankの方の融資事業は今止めてまして、というのはその地震以降「Fund for Japan」
    といって寄付をしたいということがあって、その寄付で得たおカネで東北の地域で
    自分たちで新しい事業を起こそうみたいな小さな芽にファンドを届けて、一生懸命
    後ろから背中を押している感じですね。そういう活動をしています。


━ 一種のマイクロクレジットのようなものですね。そのマイクロクレジットを一番最初に
   作ったのがバングラデシュのグラミン銀行、モハメドユヌスさんが6年前にノーベル
   平和賞をとられましたが、もうユヌスさんが70歳になって強制的に引き下ろされちゃった
   んですよね。政治的な思惑もあったみたいなんですが。グラミンバンクは最近思わしく
   ない話があるんですよね?

優さん:実は僕らが未来バンクっていうのを作ったときに、ユヌスさんから一緒にやって
    いこうねとういうようなお手紙をもらっているんですよ。そのユヌスさんのところ
    のバンクが、今やっぱりあの人政治的な発言もする人なので“政敵”という風に
    見られてしまって、そして現役大統領の方がこれを買収してつぶしてしまおうと
    いうような動きに出ているんですね。

    そういう中で今そのグラミンバンクを守れということでインターネット上の署名
    サイト「Avaaz(アバーズ)」で署名を求めている最中です。目標が75万人で今60
    万人を超えたところですね。


━ 僕もそのサイトではよく署名をしています。色々な署名を同時進行で集めている
  ところですよね。僕も家に返ったら署名をします。
優さん:ぜひ!


━ 田中さんは原発以外にも色んな環境問題にも関わっていると思うですが、今一番気に
  なるものは?

優さん:今は原発が一番大きくて、つい最近これから出版なんですが本を2冊分書きまして、
 放射能の話が1冊と今後のエネルギーの話を1冊、両方ともちょうど書き終えたところで
 そのために徹底的に調べたので、いま割と頭の中そのことでいっぱいですから。


━ その中で一番は?

優さん:非常に簡単に言うと、男の人と女の人で興味のジャンルが違うんですよね。
   (自分の講演会で)前半で放射能の話をすると女性が一生懸命で男が寝てて、後半
    エネルギーの話をすると今度は男性が一生懸命で女性が寝てるというパターンに
    なってますね。(笑)

   だからやっぱりお母さんとか命に近いところにいる人は、圧倒的に放射能をどうしたら
   いいの?と。これは一言で言うと“内部被曝”が圧倒的に怖いので“食べものに気を
   つけてほしい”、というのが一番重要かな。

   エネルギーの方をもし一言で言うと、原発を止めるには“発電所じゃなくて節電が
   圧倒的に効果が大きい”ので、しかも努力忍耐じゃなくてその装備そのものを省エネ
   製品を選んでいくことで、解決してもらうというのが一番良い気がします。


━ 最後に、女性のリスナーが寝てしまうかもしれないことを覚悟して、ぜひエネルギーの話を

優さん:最近決まったことで、実は2015年よりも手前あたりに完全に電力が自由化されると
    いうことが決まったんです。
    http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120518-OYT1T01478.htm


━ これは確実になるんですか?

優さん:それがまだひっくり返される余地があるんですが、一応は一旦決まりました。
    携帯電話の買い替えみたいに、我々が電力を選べる時代が3年後。そういう状況に
    なってきました。


━ 待ち遠しいね。

優さん:本当に。社会は転換期を迎えました、やっと。


━ それに備えて何をどういう風に進めたらいいか?みんなちゃんと情報を集めていく必要が
  ありますね。

優さん:主体的に考えてもらうようになれば解決策は見い出せると思います。


━ この辺の話は優さんの講演会でも詳しく話されてますか?

優さん:はい、もちろん。


━ そうですよね、年回300回も講演会をされているので十分聞く機会はあると思います(笑)
  元気になって良かったです。今日はありがとうございました。

優さん:ありがとうございました。


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ピーターバラカンさん番組HP http://www.tfm.co.jp/podcasts/museum/

音声はこちらからでも聴けます http://youtu.be/tSj0pdzCj-E