田中優より 「なぜ私は「計画停電」をペテンと言うのか」

◆私の数値は正しくない?

先日、「偽装停電の夏」をくいとめようというメルマガを出した後、広く拡散を呼びかけたせいか
批判も相次いだ。
いわく「電力会社を見る目が批判的すぎる」「偏った意見だ」というようなものだった。

特に夏場の電力消費のピーク時、家庭の消費は10%程度しかないというところには、
資源エネルギー庁のデータではそうなっていないという批判もあった。

資源エネルギー庁が正当なデータを出していないことは今に始まったことではない。
これまで原発の発電コストが5.3円で一番安いと言っていたことからも明らかだ。

今回の夏場のピーク時の家庭消費は、資源エネルギー庁は30%が家庭の消費だとして
家庭の節電を呼び掛けていた。


http://www.meti.go.jp/setsuden/20110513taisaku/16.pdfより


それと比較して私の言う10%しかないというのが大げさすぎるという批判だ。

この数字が間違っていることは次回の私の有料・活動支援版メルマガで紹介したいと思うが、
ここでは朝日新聞が出している記事(2011年8月1日)だけ紹介しておこう。


◆『 家庭の電力、2割過剰推計 「15%節電」厳しすぎ?


 真夏のピーク時、東京電力管内の家庭が使う電力の政府推計が、経済産業省資源
エネルギー庁が調べた実測値よりも2割多いことがわかった。政府は節電メニューを
示して家庭にも15%の節電を要請しているが、消費量を多めに見積もったため、
家庭に必要以上の節電を求めたことになる。
 
エネ庁が5月に公表した推計によると、真夏の午後2時の家庭での使用電力は、
在宅で1200ワット、留守宅と合わせた平均で843ワット。東電がエネ庁に提出
した昨夏ピークのデータを元に推計した。全使用量は6千万キロワットで、東電は
このうち家庭を1800万キロワットと見積もった。
 
 この値は実測データよりかなり高い。

 エネ庁が、電気料金と使用量との関係を調べる目的で推計とは別に実施した調査に
よると、昨夏ピークに在宅世帯で1千ワットで、今回公表の数値より200ワット少な
かった。

 シンクタンク「住環境計画研究所」も、エネ庁の委託で2004〜06年度に電力需要
を調べた。夏のピーク時に世帯平均670ワット、管内全体では1200万キロワットと
いうデータが得られたが、エネ庁はこの数値を今回の推計に使わなかった。

 エネ庁が家庭向けに示した「節電対策メニュー」に従うと、1200ワットの15%
にあたる180ワットの節電はエアコン利用を減らさないと達成できない。だが、
1千ワットの15%にあたる150ワットなら照明などエアコン以外の工夫で間に合う。

 東電企画部によると、電力使用量の詳細は大口契約の一部しかデータがなく、エネ庁に
出した数字は様々な仮定をおいて推計した。「提供を求められてから、数時間ほどで作った
データ。家庭の使用分は実際より大きめの可能性がある」
(戸田直樹・経営調査担当部長)と説明する。』
http://www.asahi.com/national/update/0731/TKY201107310433.html

ここまででも資源エネルギー庁のデータは、20%過剰だ、信頼できないデータだ
ということは分かる。あとはマニアックになりすぎるので、さらなる立証は僕の
有料・活動支援版メルマガに譲らせていただく。


◆夏場に家庭の節電は効果があるか?


私は夏場ピーク時の家庭の電力消費は少ないので、ほとんど効果がないと言っている。

それより90%を消費している事業者に対して節電なり、「電力需給調整契約」なり、
「使えば使うほど高くなる電気料金の設定」などしなければ効果がないと。ところが
電力会社はそれをしようとしないのだ。だから問題だと言っている。

今回も新たな夏場ピーク時の消費抑制のために、東京電力が新たなメニューを設定
したと報じられた。こんな記事だ。

『東電、家庭向け電気料金値上げ申請 時間帯別料金体系設定へ (FNN 5月8日)

 東京電力は、家庭向け電気料金の値上げ申請について、節電を促すために、夏の
ピーク時を高くするなど、時間帯別の料金体系を設定することがわかった。

 東京電力では、今週中に家庭向け電気料金の値上げを政府に申請する方針だが、
節電を促すために、使用量が多い夏の午後1時から4時の時間帯で、割高な料金設定を
行うという。

 また、家庭向け電気料金は、現在3段階に分かれていて、使用量が増えるごとに単価が
上がる仕組みになっているが、東京電力は、平均の値上げ幅およそ10.3%として、そのうち、
使用量の少ない利用者に配慮するため、第1段階の値上げ幅を10%弱に抑える方針。』
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866922/news/20120507-OYT1T00885.htm

ここまで読めば、この案のおかしな点に気づくだろう。

そう、またもや「家庭だけ」が対象であることだ。「使用量が多い夏の午後1時から4時の
時間帯で、割高な料金設定を行う」としているのに、それが消費量の少ない家庭だけを
対象にしていることだ。

ピーク時の家庭の在宅率は、わずか33%しかない。三分の二が不在だ。

ピーク時の家庭消費の最大電気製品は、冷蔵庫なのだ。だから家庭が節電したかったら、
冷蔵庫の中身を腐らせるのが一番有益になる。現実的なものではないのだ。


◆では何をすればいいのか?

節電させるべき対象は事業者だ。しかもそれは困難ではない。

東京で最大の消費の伸び率を示しているのは「オフィス」だ。その電気消費の内訳は、
エアコンが45%、照明が21.3%、コンセントが21.1%となっている。エアコンは15年前の
ものと比べて、今のものは半分まで消費を減らし、ガスヒートポンプを選択すればさらに
1/10に下げられる。だから15年前のエアコンをガスヒーポンに変えると、経費が浮いて
電気消費は1/20に下げられる。

さらに照明は、海外でよく見かける反射板がステンレスでピカピカしているものにすると、
天井に反射していた分がトクになり、半分の電気消費で同じ明るさになる。もし初期投資に
困るようなら、ヤマダ電機の「あかりレンタル」を申し込んで条件に合えば、タダでLEDに
変えてもらえる。しかもレンタルだから損金で落とせる。

だからトクしながら節電できるのだ。このあたりは日本中にPPSという選択肢を広げた
「電気をカエル計画」に詳しく書かれているのでそれを見習うといい。
http://www.ekaeru.jpn.org/gov.html

それ以上にすべきことがある。

東京電力が示した「節電を促すために、使用量が多い夏の午後1時から4時の時間帯」に、
『節電すればするほど割安になる料金設定を【事業者に】導入すればいい』のだ。

これは逆に「消費を増やせば値上がり」になる。しかし逆に節電すればトクになるので、
ヤマダ電機の仕組みを、家電量販店各社が一斉に作ることにつながっていくだろう。
ヤマダ電機の『照明』の仕組みそっくりに、ガスヒーポン、冷蔵庫、自然エネルギーでも
実現可能だからだ。

いまや、電力会社から電気を買うよりも、自分で太陽光などで発電したほうが、送電線
(グリッド)から買うより安い値段になった。 同じ値段になることを「グリッドパリティ」という
のだが、要は賢く対応すれば、今より電気料金を安くすることができるのだ。
それも「DMM.com」などを参考に、自分で調べてみてほしい。
http://www.dmm.com/solar/business/


*ただし「グリッドパリティー」は、価格に対する概念なので助成金なども含んでいる。
つまり恣意的な概念であることには注意が必要。

*「偽装停電の夏をくいとめよう」http://tanakayu.blogspot.jp/2012/05/blog-post_2393.html